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原田 秀郎; 高山 直毅; 米田 政夫
Journal of Physics Communications (Internet), 4(8), p.085004_1 - 085004_17, 2020/08
原子炉を用いた放射化分析などで重要な中性子共鳴積分値を高精度化するため、熱外中性子スペクトルの新しい近似を定式化した。近似式の導出に当たっては、はじめにモンテカルロ計算コードMVP-3を用いて参照解となる中性子スペクトルを計算し、これから 型の関数型を導出した。従来の近似式に比較し、導出した関数型は、中性子共鳴積分値を高精度に決定できることを示した。この検討は、過去にJRR-3で行われたCsの中性子共鳴積分値の測定データに基づき行われた。また、提唱した近似式に導入したパラメータ及びを実験的に決定するため、3種類のフラックスモニター(Au, Co及びZr)を用いる手法を提唱するとともに、解析手法を定式化した。
奥村 啓介; 金子 邦男*; 土橋 敬一郎
JAERI-Data/Code 96-015, 445 Pages, 1996/03
SRACは、様々なタイプの原子炉の炉心解析に適用できる核計算コードシステムである。1996年にSRACの第2版レポート(JAERI-1302)が出版された後、プログラムと核データライブラリーに数多くの修正と追加を行い、ここに新しいSRAC95システムが完成した。本システムは、6種類のデータライブラリー(ENDF/B-IV,-V,-VI,JENDL-2,-3.1,-3.2)、統合された5つのモジュラーコード;16種類の格子形状に適用できる衝突確率計算モジュール(PIJ)、Sn輸送計算モジュール(ANISN,TWOTRAN)、拡散計算モジュール(TUD,CITATION)、及び燃料集合体と炉心燃焼計算のための2つのオプションコード(新規導入ASMBURN、改良COREBN)により構成される。今回の改訂版には、新型炉の核設計研究を支援するために、特に燃焼計算に重点を置いて多くの新しい機能とデータを組み込んでいる。SRAC95は、従来のIBM互換計算機のみならず、UNIXをOSとするスカラーまたはベクトル計算機で利用することができる。
奥野 浩; 内藤 俶孝; 桜井 良憲*
Journal of Nuclear Science and Technology, 28(10), p.958 - 960, 1991/10
核燃料施設で取扱われる粉末燃料の粒径がどの程度小さければ臨界安全評価上均質とみなしてよいかを明らかにするため、反応度が燃料粒径にどのように依存するかを調べた。粉末燃料は5wt%濃縮の二酸化ウランとした。評価条件として冠水状態を設定した。中心に球状燃料を配置した水の立方体セルの3次元無限配列を計算対象とした。水対燃料体積比は、均質系で最適減速になるように選んだ。計算には連続エネルギーモンテカルロ臨界計算コードVIMを使用した。計算の結果、中性子増倍率は燃料球直径の増加に伴い増大するが、その主因は共鳴を逃れる確率の増大にあることが明らかになった。さらに、共鳴を逃れる確率の均質系に対する増加傾向は、共鳴積分に対する燃料粒径の依存性を検討することにより説明されることが明らかになった。
桜井 良憲*; 奥野 浩; 内藤 俶孝
JAERI-M 91-137, 35 Pages, 1991/09
粉末あるいはスラリー燃料の反応度非均質効果を調べるため、小さな3次元セルについての臨界計算を実施した。計算対象はU濃縮度5wt%の二酸化ウラン球状燃料無限格子配列-水体系で、水と燃料の体積比を一定のまま燃料球直径を0(均質)から6mmの間で変化させた。中性子輸送方程式を連続エネルギーモンテカルロ法で解いて、反応率を計算した。さらに、無限増倍率、四因子及びそれらの均質系からの変化割合を得た。均質系から比均質系に移ると無限増倍率は増加した。この反応度増加が、主に共鳴を逃れる確率pによるものであることを確認した。さらに、たとえば0.3%の反応度上昇が無視できるとすれば、均質と見なせる寸法は100m程度になることが分った。
奥野 浩; 奥田 泰久*
JAERI-M 91-107, 49 Pages, 1991/08
粉末状またはスラリー状燃料の非均質効果を調べるために小さな1つの燃料塊とその周囲の水からなる微小な燃料セルの反応度を計算する。燃料の種類は低濃縮の二酸化ウラン燃料で、冠水状態を想定する。水と燃料の体積比を一定のまま燃料塊の大きさに応じてセルを小さくしていく。燃料塊の大きさ0の極限を均質と見なす。超多群エネルギーの中性子輸送方程式を衝突確率法で解く方法を用いて反応率を計算する。衝突確率の計算はRABBLEコード(高速群側)及びTHERMOSコード(熱群側)を球状セルに拡張して実施する。無限増倍率及び四因子と、その均質系からの変化割合を求める。低濃縮度(3~10wt%)の二酸化ウラン球状燃料と水からなる配列系では、平均濃度が同一としてそれを均質とみなすと、燃料粒径が2mmでも反応度を2%程度低く見積ること及びその主因子は共鳴を逃れる確率にあることが計算の結果明らかになった。
C-J.Jeong*; 奥村 啓介; 石黒 幸雄; 田中 健一*
Journal of Nuclear Science and Technology, 27(6), p.515 - 523, 1990/06
MOX燃料棒の稠密格子から成る高転換軽水炉体系におけるセル計算手法の精度を共鳴計算手法(NR,IR近似、超詳細群衝突確率法)及びセル形状(六角、円筒)と境界条件(完全反射、等方反射)に関して検討、確認を行った。一連の計算は、高転換軽水炉に関する国際ベンチマークで採用された格子モデルを参照体系として行った。中性子増倍率、転換比、減速材ボイド特性等の諸物理量を広範囲な減速材対燃料体積比、燃料種類と富化度に対して評価し、連続エネルギーモンテカルロ法による計算値との比較により、これらの計算手法の予測精度と適用性を明確にした。IR近似の精度はNR近似に比べて良好であるが、特にスペクトルが硬くなる場合に悪くなる。また、円筒化近似の精度は、ウラン燃料格子系に比べ、プルトニウム燃料系で悪化することが確認された。
土橋 敬一郎; 石黒 幸雄; 金子 邦男*; 井戸 勝*
JAERI 1302, 281 Pages, 1986/09
1983年にSRACコードシステムの第1版のレポートがJAERIー1285として出版されたのち、綜合的な核計算コードシステムを目指して数多くの機能の改良と追加が行われてきた。主なものは、(1)JENDL-2版のデータライブラリー、(2)共鳴吸収の二重非均質効果に対する直接的な方法、(3)一般化されたダンコフ係数、(4)固定面中性子源に基く格子計算、(5)実験解析や設計の要求に対応する出力データ、(6)反応度変化のための摂動計算、(7)炉心燃料と燃料管理のための補助コード等である。以上の改良に併行して、検証と応用が実験的解析や国際ベンチマーク計算によって、SRACコードシステムで採用されているデータと手法は適切であり、どんな熱中性子炉にも適用すうることが示された。